産業保健従事者とは

産業看護職・産業保健師とは

 産業現場において、働く人々の心身の健康の保持増進を支援する看護師・保健師を合わせて「産業看護職」と呼んでいます。

 なかでも保健師は、前提として看護師免許を持ったうえで、さらに公衆衛生の専門家として養成されています。
 多くの保健師は、保健所や市町村の保健センターなどの行政機関で働いていますが、企業や産業保健のサービス機関等に所属し、労働者の健康支援を専門とする保健師も社会で広く活躍しています。
 このように、働く人々の健康支援に携わる保健師を“産業保健師”と呼んでいます。

 働く人々の健康支援は、怪我や病気の「予防」や、事業所全体の健康度を向上させるための「公衆衛生」の観点が重要であるため、本学では、特に保健師の育成において、産業保健の専門家となるべく産業保健師の育成に力を入れ、現在も多くの事業所で活躍しています。

産業保健師の役割・仕事

 産業保健師は、事業所の中で、従業員にとって最も身近な保健医療職として、また産業医の重要なパートナーとして、従業員が心身ともに健康で働くことができるよう個別的な支援や、広く集団的な対策、安全衛生施策の実施などに携わっています。

具体的には、
・労働者個人の健康支援:保健指導、健康相談、メンタルヘルス相談など
・心身の健康保持増進に関する施策の立案、実施
・職場環境の改善や快適職場づくりへの参画
などを行います。

 これらの活動にあたっては、看護の理念である「人々の生涯に渡るQOLの向上を目的とし、相手を全人的に捉え、その自助力に働きかけ、気持ちや生きがいを尊重する。」ことを大切にし、そのことによって事業所、社会の発展に寄与することを目的としています。

作業環境測定士とは

  1. 職業性疾病を予防するためには作業環境から有害物を除去し、一定のレベル以下となるように管理することが必要です。そのために作業環境測定を行うのが作業環境測定士です。
  2. 事業者は政令で定める一定の有害業務を行う屋内作業場について作業環境測定を行い、その結果を記録しておかなければなりません。特に安衛法施行令にて定める5種類の作業場は指定作業とされ、作業環境測定士が作業環境測定を行わなければなりません。
  3. 作業環境測定は、測定のデザイン、サンプリング及び分析(解析)により行います。しかし、近年、さらなる健康障害防止のため、化学物質のリスクアセスメントにおいても活躍が期待されています。

作業環境管理学とは

 有害な化学的要因や物理的要因がどの程度職場に存在しているかを作業環境測定により把握します。その結果を評価し、必要に応じて原材料の代替、局所排気装置の改善を始めとする工学的な手法により、環境改善を行うための学問です。

作業環境測定士の役割と仕事

 作業環境測定士は、測定対象作業場の作業環境の実態を把握するため、空気環境やその他の作業環境について測定を行います。具体的には測定計画を立てること、適した測定機器の選定、サンプリングした試料中の対象物質を分離、定量を行います。

衛生管理者とは

 衛生管理者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。労働者の健康障害や労働災害を防止するための措置や予防を実施します。従業員50名以上の事業所では、衛生管理者を選任しなければなりません。

衛生管理学とは

 事業所において労働者を災害や疾病から守るため、安全、健康保持のための措置や予防について管理する学問です。

衛生管理者の役割と仕事

 危険や健康障害の防止措置、労働者の安全衛生教育、健康診断の実施や健康保持増進、労働災害の原因調査、再発防止対策、衛生に関する技術的事項、作業場の巡視などがあります。